月は無慈悲な夜の女王 ロバート・A・ハインライン

紹介より

2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した! 流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取されつづけてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには…ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨編!

 前記事でも書いたが、ハインラインといえば、日本SFファンなら「夏への扉」が挙げられるが、アメリカでならこの「月は無慈悲な夜の女王」(もしくは宇宙の戦士か。)だろう。「独立戦争」はアメリカの根幹的な物語である。また描かれる月社会は流刑地であり、殆ど決まった法律はなく、他人(や政治)をあてにせず、自分のことは自分で守るのだという考え(自由主義?自由意思主義?)が度々演説されており、これが「独立」の考え方によるものなのか?と思われた。

特に、

  • タンスターフル」:ドリンク購入のお客様にはランチ無料=ランチ代はドリンク代に転化されており、無料の昼飯などというものはない)
  • 「家系型結婚について」:結婚の習慣は環境のもたらす経済的必要性から起きており、端的にいえば資本を保存し子どもの福祉を確保する目的からだ。

の演説が面白かった。マイクの最期についてはノーコメント。