守護天使・時の矢・海にいたる道 アーサー・C・クラーク
「守護天使」
『幼年期の終わり』第一部の原型短篇。内容もほぼ同じであるが、ここで示されるオチ(カレレン達の正体)は第二部まで引っ張られている。
「時の矢」
恐竜とタイムスリップ。ヘリウムⅡ(私は液体ヘリウムで記憶していた要素)の動作は面白い。
「海にいたる道」
本篇も『銀河帝国の崩壊』第一稿から、その完成形『都市と星』(1956)へいたる試行錯誤の産物。作中に登場する黄金のスフィンクス像が印象的だが、ウエルズの「タイム・マシン」に出てくるスフィンクス像の影響は明らかだ。どちらも悠久の時の流れをみまもるシンボルである。
宇宙へ旅だった人々と地球で牧歌的な生活を送る人々との一瞬の邂逅、<麗しのシャスター>(理想郷であった都市)は変わっても、それを見下ろす<黄金のスフィンクス>、そして海はいつまでも変わらずある。