ハコブネ・星が吸う水 村田沙耶香

・ハコブネ

紹介より

セックスが辛く、もしかしたら自分は男なのではと思い、男装するフリーターの里帆。そんな曖昧な里帆を責める椿は、暗闇でも日焼け止めを欠かさず肉体を丁寧にケアする。二人の感覚すら共有できない知佳子は、生身の男性と寝ても人間としての肉体感覚が持てないでいたーー。十九歳の里帆と二人の”アラサー”女性。三人が乗る「ハコブネ」は、セクシャリティーという産みを漂流する。

 女性の苦しみの話。紹介にある年齢については、19歳だからセクシャリティーが曖昧、アラサーだから女性としてのリミットが迫っていて苦しい、という要素として描かれているように思える。意味は理解できるが、

知佳子が終始感じている、昼も夜もなく時間は一定で永遠に続いている・自分は星の欠片である感覚の方が心に迫ってくる気がした。アースとのセックスについては興味深かった。どこかで誰かがしているだろう。

 

・星が吸う水

ハコブネとほぼ同じく女性の苦しみの話。2作品集録で、表題作の「星が吸う水」は、女性としての社会的役割に苦しむ梓と恋愛感情や性欲を持たない志保、セックスが好きな鶴子の3人が温泉に行く話。

もう1作品の「ガマズミ航海」は性行為ではない肉体関係を探す話。

 

今のところ村田沙耶香作品のテーマは、

女性の苦しみ(スクールカーストでの生きづらさや社会から要求される性役割を含む)とセックスについて(大事なものだと感じているがうまくいかない)、そしてそれに内包された家族制度のついての疑問、のようである。